知っているようで知らない相続の基本

豆知識共通

多くの人にとって興味がある相続。でも、相続という言葉は知っていても、具体的に相続とはどのようなことなのか、詳しくは知らない人も多いのではないでしょうか。ここでは、そんな知っているようで知らない相続の基本について解説します。

相続って何?

「相続」とは簡単に言うと、死亡した人(被相続人)の財産や権利、義務を一定の親族などが引き継ぐ制度のことです。「死亡した人」「財産や権利、義務」とは、それぞれ具体的にどのようなことを指すのか、民法で定義されています。そのため、相続とは何かをきちんと理解するためには、言葉の定義を理解する必要があります。

「死亡」には2種類ある

相続とは、死亡した人の財産や権利、義務を一定の親族などが、引き継ぐ制度のことですが、この「死亡」には「自然的死亡」と「擬制死亡」の2種類があります。
「自然的死亡」は、現実に死亡という事実が発生することをいいます。「擬制死亡」は失踪や事故等による行方不明が一定期間続いたことを理由に、家庭裁判所の失踪の宣告等により死亡とみなされることをいいます。通常、7年間行方不明の状態にあれば擬制死亡になります。

財産だけでなく、負債も引き継ぐ

相続では財産や権利、義務を引き継ぎますが、このうち「財産」は、現預金や不動産などをいいます。また「権利」は死亡した人が受け取ることができるはずだった、退職金や生命保険、貸付金などを受け取る権利のことです。そして「義務」とは、死亡した人が負っていた借入金などの負債を返済する義務のことです。相続ではこの財産や権利、義務をすべて引き継ぐので、負債があればそれも引き継ぐ必要があります。

一定の親族とは

相続では状況によっては、さまざまな人が財産を引き継ぐことができる可能性がありますが、通常は一定の親族が引き継ぎます。この「一定の親族」にも規定があります。まずは配偶者と子供です。配偶者や子供はいちばん先に相続する権利があります。子供が亡くなっている場合は孫に権利が移ります。次に直系の尊属、つまり父母や祖父母など、その次が兄弟や姉妹またはその子です。
相続税を申告する場合は、相続人の確定のため戸籍を遡って調べる必要があります。

相続開始の時期と場所

相続開始の時期と場所は、相続税の申告の時に必要になります。
民法では、人の死亡が相続開始の唯一の原因で、相続は人の死亡と同時に開始されると定義されています。つまり、相続開始の時期は被相続人の死亡日です。また、相続開始の場所は被相続人の住所になります。死亡日や住所は、相続税の申告やそこで使うさまざまな特例等の基準となるので覚えておきましょう。

相続は、誰の身にも起こり得ることで、しかもいつ発生してもおかしくない事項です。今回お伝えしたことは、相続の本当の基本のところです。そのため、実際に相続が発生している人も、これからの人もまずは押さえておいてほしい事柄です。ぜひ知っておいてください。