相続分とは―財産を誰がいくら引き継げるのか―

豆知識共通

相続が発生したときに発生する問題の1つとして、誰がどれだけ引き継げるのかということがあります。この割合について何も定めがないと争いの元になってしまうため、法によって、誰がどれだけ引き継ぐかという割合が定められています。ここでは、一般的な例を挙げながらその割合について解説します。

法定相続分と指定相続分

相続人が複数いる場合は、財産等をどの割合で分けるかを決める必要があります。この相続する割合のことを「相続分」といいます。相続分には「法定相続分」と「指定相続分」があります。法定相続分は、民法で定めた割合のことです。指定相続分は、遺言書などで被相続人が生前に定めた割合のことです。一般的な相続は、法定相続分を参考にして、遺産をどう分割するかを協議します。

法定相続分の具体例

ここからは、よくあるケースを基に法定相続分の具体例を見ていきましょう。

①配偶者と子供が相続人の場合

被相続人の配偶者と子供はどちらも第1順位の相続人です。この場合、配偶者と子供の相続分は1/2ずつです。子供が複数いる場合はその1/2をさらに子供の人数で分けます。
相続人が配偶者1人と子供2人の場合のそれぞれの相続分は、配偶者1/2、子供は1/2×1/2=1/4ずつになります。子供は、実子、養子に関係なく平等の割合です。また嫡出子、非嫡出子も平等の割合です。

相続財産を100とした場合

▼▼表1▼▼

上記の例で、相続開始時に配偶者が死別などの理由でおらず、相続人が子供の兄弟だけの場合は、それぞれ1/2ずつの相続分になります。

②配偶者と実父母の3人が相続人の場合

被相続人の配偶者は第1順位、実父母は第2順位の相続人です。この場合は、配偶者の相続分は2/3、第2順位の相続人の相続分は1/3ずつです。第2順位の相続人が複数いる場合はその1/3をさらにその人数で分けます。例えば、相続人が配偶者1人と実父母2人の合計3人の場合は、配偶者2/3、実父母は1/3×1/2=1/6ずつです。今回は実父母のケースを取り上げましたが、養父母であっても同様の割合になります。

相続財産を150とした場合

▼▼表2▼▼

③配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合

被相続人の配偶者は第1順位、兄弟姉妹は第3順位の相続人です。この場合は、配偶者の相続分は3/4、第3順位の相続人の相続分は1/4ずつです。第3順位の相続人が複数いる場合はその1/4をさらにその人数で分けます。例えば、相続人が配偶者1人と兄弟2人の合計3人の場合は、配偶者3/4、兄弟は1/4×1/2=1/8ずつです。

相続財産を200とした場合

▼▼表3▼▼

※片方の親だけが同じ兄弟姉妹の場合は、両方の親が同じ兄弟姉妹の持ち分の1/2になるので注意が必要です。

 

相続人は、配偶者は必ず相続人になり、そこに血族(血縁)の相続順位の高い人が加わります。また、法定相続分は配偶者が1番高い割合になるよう定められています。相続で遺産分割を潤滑に進めるためには、法定相続人の範囲と順位、そして相続分をしっかり把握しておくことが重要になるでしょう。